こんにちは。
機長のTenです。
最近はめっきり雨が多い
季節となりました。
梅雨ですねぇ。
天気予報を見ても、
雨…雨…雨…
そんな時、
ふと航空大での訓練を思い出します。
今日は航空大学校時代の
思い出話をしますね。
簡単に自己紹介をしておきます。
航空大卒業
大手航空会社入社
国内他社へ2度転職
ボーイング機機長
今回のお話は
“パイロット訓練生あるある”
です。
是非読んで頂いて、
がんばれ訓練生!
という思いになってもらえれば
幸いです!
航空大学校でのフライト訓練カリキュラム
航空大学校はご存じのとおり、
日本で唯一、
国のパイロット養成学校です。
宮崎、
北海道の帯広、
宮城の仙台
にある校舎を転々としながら
2年間でパイロットの
ライセンスを取得します。
卒業後は
国内のエアライン各社へ就職し、
日本の翼を担うことになるのです。
航空大学校を経てパイロットになる方法は
以下の別記事を参照ください!
パイロットになる方法② 【航空大学校】
航空大学校では
帯広課程で71.5時間
宮崎課程で73.5時間
仙台課程で57時間
合計202時間の
フライトタイムがあります。
今思うと
たったの200時間
くらいなんですよねぇ。
エアラインでは
月に70~90時間くらい飛ぶので、
3カ月くらいで
航空大のフライトタイムを
超えてしまいます。
それでも航空大学生だった当時は、
2年間が永遠に終わらないんじゃないか
と思っていました。
同期と一緒に
そんな話をしていましたね。
お、終わらない…
いつまで続くのこの訓練…
飛ばないと終わらないのに飛びたくない
航空大のカリキュラムは2年間で
事業用操縦士
計器飛行証明
を取得するように組まれています。
2年が過ぎれば
勝手にライセンスを
取得できるわけではありません。
しっかりと訓練をして
技量を身につけて
初めて取得できるのです。
だから
飛ばないとカリキュラムが終わらないのは
分かっています。
分かっているんだけど飛びたくない…
何故かって?
訓練がキツイからですよ!
フライトの準備に時間がかかるかかる…
まだまだフライト訓練が
始まったばかりですから、
やたらと準備に時間がかかるんですよね。
そしてどんなに準備してフライトに臨んでも、
いつも何かが足りなくて
教官から指摘を受けるわけです。
疲れ切った体にムチ打って
その日のフライトの振り返りを行い、
翌日の準備をする…
また次の日も教官に…
あぁ…思い出したら疲れてきました…
飛ばないとエアラインパイロットにはなれないのに、
日々の訓練がキツくて
飛びたくないという
ジレンマに陥る。
これが“パイロット訓練生あるある”ですね。
天気が悪いと訓練できない
航空大学校の最終課程、
仙台課程では計器飛行証明といって、
悪天候の中でも飛行できるような
技量を取得する訓練を行います。
ですから天気が良かろうと悪かろうと
関係なく訓練が進んでいきます。
しかし最初にフライト訓練を始める帯広と、
それに続く宮崎での訓練課程は
VFR(Visual Flight Rule)
での訓練です。
これは障害物や他の飛行機との衝突防止を、
パイロットの目で見て行うものです。
目で見て回避するためには
天気(視程と雲)の状況が良くないと
飛ぶことができません。
そのため飛行中の視程と
雲からどれくらい離れて
飛ばなくてはならないか、
法律で定められているんです。
法律を破るわけにはもちろんいけませんから、
天気が悪い日は残念ながら(?)
訓練中止となります。
訓練生たちは
フライト訓練の前日、
それはそれは入念に天気を調べます。
翌日の天気はフライトが
可能か否か。
否か!?
主要空港には
飛行場予報というものがあります。
上の英数字の羅列が飛行場予報です。
TAFと呼ばれているものです。
1行ずつ簡単に読み方を見ていきますね。
ざっくりとこんな感じです。
4日の夜、
20時過ぎにこの情報を
見るわけですね。
少し続きを見てみると、
この赤枠の中は、
TEMPO=一時的に
0506/0512=5日の15時から21時の間で
4000=視程が4000m
-RA=小雨
BR=もやが発生
TEMPOの細かな意味は置いておいて、
一時的ではあるものの
天気が悪化しますよ
という予報になっています。
これくらいの値だと、
『5日の午前中はフライト訓練できそうだな』
『5日の午後3時ころから天気が悪化するのかぁ…』
『ギリ午後も訓練できちゃうな…』
こんな感じですかね。笑
この予想を見ては
一喜一憂する訓練生たち…
今回の予想は、
まぁ訓練できそうな値なので、
前夜の訓練生たちは
必死に訓練の準備を
始めているでしょう!
場合によっては
圧倒的な悪天候が
予想されていることがあります。
特に台風の時とかは風も強く、
雨も降るということで、
とても訓練ができないであろう
予報が出されるのです。
訓練できないのかぁ~残念だなぁ~
そうなると訓練生たちはどうするか。
はい、サボります。
フライトの準備をしなくて良いですからね。
その日の夜は
精神面の回復に
努めるわけです!笑
朝起きると小鳥たちがチュンチュン
徹底的にサボり…
いやいや、
精神面の回復に努め眠りにつく訓練生たち。
翌朝は
非常に残念ではありますが
訓練ができない悪天候となっているはずです。
朝を迎え、
うっすらと光が差し込む
航空大の寮の中。
遠くから聞こえてくるのは…
チュンチュン…チュンチュン…
!?
は、晴れてる…
そう、これが世に言う
『朝チュン現象』
またの名を
『朝チュンアタック』
この後、
訓練生たちは必死に
フライトの準備を進めるのでした…
準備しておけばよかったぁー…
こうして
パイロットに必要な
危機管理能力を磨いていくのです…
パイロットに必要な危機突破力については
こちらの記事も参考になるかもしれません
この力がないと困る…パイロットに必要な危機突破力!
まとめ
いかがでしょうか。
今回は航空大学校での
訓練あるあるのひとつについて
お話ししました。
いやー…いろいろあるよね、訓練って。
パイロット訓練生たちは
こうして様々な危機を乗り越えて
立派な(?)パイロットになっていくのであります。
是非とも温かい目で見守ってやってください。
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