機長が操縦を任せたくないのは、○○できない副操縦士

パイロットのお仕事
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こんにちは。
機長のTenです。

今回は、

機長が操縦を任せたくない副操縦士

について書いてみます。

どんな副操縦士だと思いますか?

それは、

PMをちゃんとできない副操縦士です。

先日、次のようなTweetをしました。

エアラインパイロットは
2人で飛行機を飛ばします。

1人はPF:Pilot Flying
1人はPM:Pilot Monitoring

このように役割を分けて飛行機を飛ばします。

PFは主に操縦担当。
PMは管制官との交信や、モニター業務を担当。

このPMのお仕事ができない人は、
操縦業務もできない人が多い
のです。

それ故に
PM業務のできない副操縦士には
PF:操縦業務を任せたくない
のです。

今回は
機長の立場から
実際のフライト業務を通じて
感じたことを書いていきます。

簡単に自己紹介をしておくと、

航空大卒業
大手航空会社入社
国内他社へ2度転職
ボーイング機機長

これから
エアラインパイロットを目指す方や、
副操縦士の方は
この記事を参考にして頂くことで、
操縦技量の向上と、
機長昇格への近道になると思います。

そもそも
パイロットの仕事内容を知りたい方は
以下の記事を参考にされてみてください!
あたり前のことを、あたり前にやりとげる!パイロットのお仕事とは?

操縦するのは機長?

エアラインの飛行機は
二人のパイロットで飛ばす
設計になっています。

もちろん
二人が同じことをするのではなく、
業務が分かれています。

それが先ほども書いた、

PF:Pilot Flying
PM:Pilot Monitoring

この二つの業務を
各パイロットが行います。

よく勘違いされているのですが、

飛行機の操縦は
必ずしも
機長が行うわけではありません。

副操縦士も操縦します。

国内線のパイロットですと、
一日に3~4便くらいフライトします。

出発前のブリーフィングで、
どちらの操縦士が
どの便のPFをやるのか、
相談して決めています。

もし3本フライトがあった場合は、
少なくても1本は
副操縦士が操縦する機会を
得ることが多いようです。

なぜPM:Pilot Monitoringができないと操縦を任せたくないのか

パイロットと聞くと、
真っ先に操縦するシーンを
思い浮かべるかもしれませんね。

もちろん操縦する技量は大事ですし、
パイロットの醍醐味でもあります。

しかしそれと同時に、
PM:Pilot Monitoring業務も、
とても重要です。

なぜ飛行機に
二人のパイロットが必要なのか。

それは、
一人で飛ばすには飛行機が複雑であり、
安全の層を厚くするため

二人のパイロットが必要なのです。

操縦していない側のパイロット、
PMは具体的に何をしているのかというと、

・管制官との無線交信
・PFにorderされた仕事
・フライト全般のモニター

これらの仕事をしています。

それぞれが
とても大事な仕事なのですが、
これらの仕事って
受け身になりやすいんです。

管制官との交信は、
基本的には管制官側からの通信に
応答する形になります。

PFにorderされた仕事も、
PFにorderされなければ
やることがなくなります。

フライト全般のモニターも、
通常状態では特に言及することや
行動を起こすことはありません。

こうなるとPFに比べて地味だし、
やることないな~って
状態になりやすいんですよね。

でもこれだと
PM業務ができていない認定
受けることになります。

PMの仕事をしているのに、
何でPMできていないってなるの?

なぜPM業務ができていない認定になるのか。

それは
フライトに参加していない
からです。

だって、
言われたことしかしないんだったら、
パイロットである必要ないですよね?

言われた通りに行動してくれる人がいれば
それで済むはずです。

逆に
PM業務をしっかりと果そうとすれば、
フライトに参加しなくてはなりません。

この状況なら、こういうところをモニターしておこう!
今必要な情報はこれかな!
こういう選択肢もあるよな!
そろそろ減速を開始しないとエネルギーが余るな!

などなど。

実は
これらの考えは、
操縦している
PF:Pilot Flyingの頭の中と
似ているのです。

つまり、
PM:Pilot Monitoring業務をしっかりとできる人は、
PF:Pilot Flying業務の考え方もできている人なので、
操縦を任せても上手くできる率が高く

PM:Pilot Monitoring業務ができない人は、
PF:Pilot Flying業務の考え方ができていない場合が多いので、
操縦を任せると失敗する率が高くなるのです。

ですから
PM:Pilot Monitoring業務ができない人に
操縦を任せたくないのです。

操縦できないと困ること

PM:Pilot Monitoring業務ができない人は
PF:Pilot Flying業務を任されることが
減ってしまいます。

操縦できなくて困ることは3つ。

1.操縦技量が上がらない
2.審査で苦労する
3.機長昇格できない

離着陸操作を行う機会が減ると、
もちろん操縦技量はなかなか向上しません。

操縦技量が安定しないと、
フライト中の頭は
操縦することに大部分を使ってしまって、
マネジメントの部分に割ける容量が
減ってしまいます。

そうなると判断力が低下して、
適切な判断ができなくなってしまうのです。

おそらく毎年行う技量審査でも
苦労することになるでしょう。

さらに、
機長昇格を目指すのであれば、
操縦技量はとても大切です。

機長昇格訓練では、
もはや操縦技量の訓練は
ほとんどしないからです。

操縦技量はあってあたり前。

マネジメントの訓練が大部分を占めるので、
この段階で技量が安定していないと、
下手すれば訓練にすら投入して
貰えなくなってしまうのです

副操縦士に昇格したての頃、
先輩に言われた言葉があります。

『同期の中でも着陸経験の数に開きが出てくる。
着陸回数の少ない人は
どこか問題があるのかもしれない。
同期の中で勉強会をするなりして
お互いにフォローしていけよ。』

こんな言葉でした。

最初の頃は意味が良く分かりませんでした。

同期の間で着陸回数の差は多少あるものの、
同じスケジュールで仕事をするわけではないので、
違って当然だよなーって思っていました。

しかし、
何年かすると
着陸回数に大きな開きがでるようになって、
先輩の言っていたことは
本当だったんだなと思ったものです。

実際、着陸回数の少ない仲間は苦労していたなぁ…

良いPM:Pilot Monitoringとは

PF:Pilot Flying業務を任せてもらえないと、
パイロットとしては困ったことになりますよね。

操縦経験が少ないと、
技量が向上せず、
技量が低いとフライトへの信頼が低下し、
信頼が低下すると操縦機会が減少するという、
負のスパイラルに陥ります。

PF:Pilot Flying業務を任せてもらうためにも、
まずは
PM:Pilot Monitoring業務
しっかりとできるようになりたいものです。

機長からの信頼を得られる
PM:Pilot Monitoringとは
どのような姿でしょうか。

・PMのProcedureを抜けなくできる
・PFのorderを処理できる
・PFのorderを予測して必要なものを提供できる
・PFに対して自分のプランを提案できる
・PFと共に良いフライトを実現しようと考えている

他にもまだまだあると思います。

・PMのProcedureを抜けなくできる
・PFのorderを処理できる

この2つは最低限のレベルです。

自分のProcedureや
PFからのorderを
適切に対応できない人に、
操縦業務を任せようとは
思わないでしょう。

ここで引っかかる人は、
今一度マニュアルを確認し、
自分の操作手順が適切か、
ミスがないか、
正しい用語で表現できているか等
を再確認しましょう!

・PFのorderを予測して必要なものを提供できる
・PFに対して自分のプランを提案できる
・PFと共に良いフライトを実現しようと考えている

これらの3つは要するに
フライトに対する自主性です。

もし自分が今、
操縦業務を担当していたら
どの情報が欲しいか?

この先の状況は
どのように変化するだろうか?

選択肢がいくつかあるなら、
自分だったらどれを選択するか?

PFが選んだ選択肢以外の方法はないのか?

このように、
PFが今まさに実行している
フライトプランと並行して、
PMもフライトプランを考え、
吟味し、
評価する姿勢

フライトに対する自主性です。

受け身の姿勢ではできないことです。

この姿勢を持ち続けると、
次第に予測の精度が高まりますし、
フライトのどのフェーズでPFから考えを求められても
答えることができるようになります。

PFと考えが異なった場合には
質問することができますし、
より良い方法、
考えを見つけるきっかけになるかもしれません。

そして、
いざ操縦業務を任された時に、
それらの経験が発揮されるはずです。

まずはPM:Pilot Monitoring業務を通して
機長の信頼を得られるように
努力してみるのが
良いのではないでしょうか。

まとめ

最後にまとめて終わりましょう。

機長が操縦業務を任せたくない副操縦士とは、

PM:Pilot Monitoring業務ができないパイロットです。

PM:Pilot Monitoringは
油断すると受け身の姿勢になりやすい仕事です。

そうならないためにも、
フライトに参加する必要があります。

PM:Pilot Monitoring業務であっても、
頭の中はまるでPF:Pilot Flyingのように
フライトを考えることで、
PM:Pilot Monitoringとして
適切なモニターができるようになります。

その積み重ねが信頼を厚くし、
PF:Pilot Flying業務を任されることに
繋がるのだと思いますよ!

良ければ以下の記事も見てみてください。
操縦以外にも必要なパイロットの能力について書いてあります!

絶対必要!パイロットに必要な能力3つ!

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