パイロットになる方法② 【航空大学校】

航空大学校 パイロットになる
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こんにちは。
機長のTenです。

みなさんは、
どうやってパイロットになるのか興味ありませんか?

パイロットになるための方法はいくつかあります
これからパイロットを目指す方は、
まずどのようにしたらパイロットになれるのか、

また各方法ごとの
良いところ・悪いところを
確認することをオススメします。

自分の人生プランに最適な方法を見つけましょう!

今回は、その方法の中の1つ、
航空大学校についてまとめてみたいと思います。

  • 航空大学校とは
  • 航空大学校のメリット
  • 航空大学校のデメリット
  • まとめ

以上についてお話します。
どうぞお付き合いください。

また、”いつどうしてパイロット目指すことになったのか”興味がある方は
以下の記事をご覧ください。

パイロットになる!いつから目指す?

航空大学校とは

航空大学校は、
国で唯一の公的な操縦士教育訓練機関です。

創立60年以上の歴史をもち、
今までに約4000名以上の卒業生を送り出しています。
もちろんその多くがエアラインパイロットとして活躍しているのです。

訓練学生は
4回の入学時期(6月,9月,12月,3月)に分かれて入学します。
そしてカリキュラム毎に、

  • 宮崎座学課程
  • 帯広フライト課程
  • 宮崎フライト課程
  • 仙台フライト課程

と、各校舎へ移りながら
パイロット訓練を受けていきます。

卒業時には、

飛行機・事業用操縦士(陸上単発・陸上多発)
計器飛行証明

2つのライセンスを取得できます。

また、宮崎、帯広、仙台の各空港に行く予定の方は、
ぜひ航空大の格納庫を探してみてください!
空港に併設されていますよ!

タイミングがよければ
飛行訓練している様子も見られるかも!

宮崎座学課程

最初の宮崎課程では5か月間の座学を行います。
ここでこの後のフライト訓練で必要な知識を学ぶのです。

航空力学や航法、
気象や航空英語など幅広く学習します。

文系・理系はパイロットになるのに関係ありませんが、
座学においては得手不得手があるかもしれませんね。
入試においても、
若干理系的要素を問われる傾向にあります。

私たちの時はお互い協力し、
得意な人が苦手な人に教えてあげていました。

帯広フライト課程

ここからは、いよいよフライト訓練の始まりです。
6か月間を北海道の帯広で過ごします。

訓練開始までにProcedureという、
飛行機の操作手順を頭に叩き込まなければなりません。

初めて操作手順を覚えようとしたときは
苦労した記憶があります。

帯広課程ではシングルエンジン機のシーラス式SR22を使用し、
自家用操縦士レベルの技量取得を目指します。

宮崎フライト課程

再び宮崎へ戻ってくると、
6か月間の宮崎フライト課程が始まります。

ここで使用する飛行機は
ビーチクラフト式A36です。

飛行機の種類が変わるので、
新たに操作手順を覚えなくてはなりませんが、
手順の大きな流れは変わりませんので、
楽に頭に入ってくると思います。

宮崎課程では
事業用操縦士レベルの技量取得を目指します。

事業用操縦士は、
プロパイロットとしての技量はもちろん、
判断力も求められます。

各航空会社のパイロトキャリア採用を見てみると、
募集要項に事業用操縦士資格を
求められていることがほとんどです。

そのため、
航空大学校の訓練で大きな山場となるのも、
ここ宮崎課程となるケースが多いようです。

仙台フライト課程

いよいよ最終課程の仙台フライト課程です。

仙台フライト課程は7か月間です。

ここではレシプロ双発機の
ビーチクラフト式G58型機を使用し、
マルチエンジン機のオペレーションや、
計器飛行の技量を取得します。

またこの7か月の間に、
エアライン入社試験も始まります

人によっては初めての就職活動となりますし、
訓練の合間に入社試験の準備も進めなければなりません。
もちろん訓練の試験も別であります。

ある意味パイロットに求められる、
マルチタスクをこなす能力を発揮する課程となります。

航空大学校のメリット

私が考える航空大学校のメリットは、

  • 入試時期を自分で選べる
  • 1次試験なら何回も受験が可能
  • 費用が国立大学2倍程度で済む
  • 自社養成よりも早くエアラインパイロットとして活躍できる
  • 伝統があり、訓練体系は整っている
  • エアライン就職試験の窓口が確保されている
  • 同期が航空各社へ就職するので、情報交換できる

以上が大きなメリットだと思います。
1つずつ見ていきましょう。

入試時期を自分で選べる

入試時期を自分で選べる理由は、
航空大学校の出願資格にあります。
募集要項には、

  1. 生年月日
  2. 大学2年以上在学の上、必要単位数をみたしている
  3. 短大・高専卒
  4. 専修学校の専門課程を修了し、専門士または高度専門士の称号を付与されている
  5. 応募年度までに以上を満たす見込みのもの
  6. 航空大学校理事長が、その学力を有すると認めるもの

このように書かれています。
詳しくは航空大学校学生募集要項2020年度をご覧ください。

入試時期を自分で選べるということは、

自社養成パイロットの採用試験や、
パイロット以外の就職活動と並行して受験することや、

一早く大学の単位を修得して、
早々に航空大学校の受験をする

など、自分の人生プランに合わせられるということです。

生年月日の制限から、
年齢幅は5歳の間でおさえられます。

実際私が航空大学校へ入学した際、
同期の年齢は若い方から、

2:1:4:7:4

こんな割合でした。
私の期の場合は、
どちらかというと就活と並行して、
もしくは一度社会人になってから

受験したケースが多かったようです。

1次試験なら何回も受験が可能

1次試験は学科試験です。

学科試験は勉強さえすれば間違いなく通る
と私は思います。

一発勝負にするのが怖ければ、
例えば大学在学中に数回トライすることができます。
そして1次試験合格した年に、
そのまま2次、3次と試験を受けていく
というのもありだと思います。

ただし、
2次試験は一度受けてしまうと再受験資格はなくなります。
(脳波検査で不合格の場合)

2次試験は身体検査ですので、
ここで適性が無いと判断されてしまうと、
その後は受験できないというわけです。
この点だけは気を付けておきましょう。

ちなみに自費になるので2万円前後しますが、
航空大の受験前に、
航空身体検査に対応する病院にて受けることもできます

航空身体検査指定機関一覧こちら

あらかじめ自分の体が、
航空身体検査での適性があるかないか分かっておくと、
自分の人生の選択を適切に見極められると思います。

ちなみに私も事前に航空身体検査を受験しました。
検査結果の封筒を開くのに、滝汗かいた記憶があります。

費用が国立大学の2倍程度で済む

パイロットになる
一番のハードルはその費用だと思います。

私大のパイロットコースを出て
エアラインに就職するまでにかかる費用は、

約2000万円!

自費でライセンスを取得するにも
これくらいはかかってしまいます。

この費用を、
航空大学校であれば国公立大学の2倍程度の費用
で済ませることができます。

具体的には、
2年間の学費、入学料込みで
約350万円です。

これに寮での生活費が
2年で120万円。

合計470万円ほどです。

私大と比べると
約1/4の費用で済むのは
ありがたいですよね。

自社養成よりも早くエアラインパイロットとして活躍できる

自社養成パイロットとして入社するということは、
大学新卒で入社するということです。
入社してから訓練開始するわけですので、
副操縦士になるまで入社後2~3年必要になります。

しかし、航空大学校であれば
入学の時期を自分で選ぶことができます。

つまり、自社養成パイロットとして入社するよりも、
最短2年早く副操縦士になれるわけです。

たった2年ですが、
もちろん順調にいけばですが、
2年早く機長昇格がみえてきます。

2年多く経験を積むことで、
社内でもいろいろなことに挑戦する機会が
与えられるかもしれません。

転職する際も
若くて経験豊富なパイロットの方が有利です。
生涯賃金も相当かわります。

これだけでも、
一早くパイロットになることのメリットが分かると思います。

伝統があり、訓練体系は整っている

創立60年を超える航空大学校です。

今までに4000人以上卒業生を輩出しています。

最近でこそ、
私大卒のパイロットが増えてきましたが、
まだまだ世の中のパイロットのほとんどは
自社養成パイロットか、
航空大学校卒のパイロットです。

また、独立行政法人として国からの支援を頂いています。

これによる
訓練環境、
飛行機、
整備など、
体制は整っています

ちなみに校舎を
宮崎、帯広、仙台と
転々とする航空大学校の訓練生ですが、
住むところは寮になります。
全員寮生活です。

切磋琢磨する学生同士が、
寝食を共にして絆を深め、
お互いを高めていくという環境
整っているわけです。

エアライン就職試験の窓口が確保されている

航空大学校には
各エアラインからも出資されています。

出資しているエアラインには、
航空大学校の学生を採用する権利が与えられるのです。

航空大学校の学生は、
仙台課程の訓練の合間に
それらエアラインの採用試験を
受けることになります。

航空大学校の学生の就職先こちら

航空大学校もいろいろと手引きしてくれるので、
個人で就職活動するよりも
はるかに手間がかからないと思います。

ちなみにエアライン側から見ても、
航空大学校のフライト技量は高いと
評判があるようです。

エアラインに就職したものの、
副操縦士に昇格するまでの訓練でつまずかれては、
採用する側も困ってしまいます。

その点、
航空大学校の学生は技量が高い場合が多く、
採用する側の安心材料になるようです。

同期が航空各社へ就職するので、情報交換できる

自社養成パイロットの場合、
同期はもちろん同じ会社内に限られます。

しかし、
航空大学校の学生の場合、
実に多くの会社へ就職していきます

航空大学校の学生の就職先こちら

先輩後輩も同じく色々な会社へと就職します。

したがって、
会社を超えてつながりが広がっていきます。

もちろん会社の秘密事項は話せませんが、
安全にかかわることや、
使える情報など、
定期的に同期で集まって
話したりしています。

卒業して何年も経っていますが、
いまだに集まって楽しい時間を過ごしますよ。

航空大学校のデメリット

次に航空大学校のデメリットを考えてみます。

私が考えるデメリットは、

  • そこそこの入学倍率がある
  • 訓練教官がエアライン出身でないことが多い
  • 訓練途中で訓練中止、退学になってしまうことがある
  • 就職先を自分で決めにくい

以上が大きな点です。
1つずつみていきます。

そこそこの入学倍率がある

上の表は航空大学校が出している
受験者数と合格倍率の表です。

最終倍率は大体8倍前後くらいになっています。

参考までに東海大の操縦学専攻の倍率が5倍前後なので、
それに比べると若干高いのかといったところです。

自社養成パイロットの採用倍率が100倍近いことを考えれば、
大した倍率ではないですけどね。

訓練教官がエアライン出身でないことが多い

これはデメリットとしては大きいと思います。

航空大学校の教官たちは、
主に自衛隊出身の方
自費でライセンス取得された方
そしてごく少数の元エアラインパイロットの方です。

いずれにせよ、
訓練生が目指すエアラインパイロットのことを
良く把握していません

そして、
教える立場になった教官は、
自身が教えられてきたように指導することが多いのです。

元エアラインパイロットの方であれば良いですが、
それでも最新の情報にアップデートされていないこともあります。

自衛隊出身の方は、、、

いや、技量は向上します!
それでも人同士の付き合いなので、
合う合わないは出てきます。

私が在籍していた当時は、
訓練教官は班ごとに固定されており、
6か月の間に1回しか変わりません。

誰が教官になるかで、
訓練のモチベーションや、
卒業後の思い出にかなりの影響が出てきます。。。

最近はGentlemanが増えてきたという話ですが。

訓練途中で訓練中止、退学になってしまうことがある

これは自社養成パイロットとも同じです。

自社養成パイロットの記事は、
パイロットになる方法① 【自社養成】を見てみてください。

どんなに訓練を頑張っていても、
学校を辞めなくてはならない時があります。

それは、
チェックという、
カリキュラムの節目にある試験に
2度失敗してしまった時です。

国や各エアラインから
出資してもらっている航空大学校です。

訓練費用を無駄にすることは許されません

決められた時間内に、
必要な進捗を見せなければならないのです。

訓練の節目節目にはチェックがあります。

私の訓練当時、チェックは10回以上ありました。

それらのチェックは2度チャンスが与えられます

一度失敗してもリトライできますが、
同じチェックに二度失敗してしまうと
訓練中止となります

つまり、航空大学校を退学となるのです。

実際、私の同期も2名退学となってしまいました。
(ちなみに1人は自費でライセンス取得し、エアラインパイロットになっています)

苦手な科目があっても、
決められた時間内にクリアしなければならない
というプレッシャーと、
常に戦い続けなければなりません。

就職先を自分で決めにくい

いろいろなエアラインへ就職する
航空大学校の学生ですが、
その就職先はなかなか自分で
決めづらいもののようです。

航空大学校の学生を採用する権利は、
航空大学校へ出資している比率に応じて
各エアラインに割り振られます

現状では、
まずANAが採用する権利を持っている
状態です。

ANAの採用試験中は、
他のエアラインは手出しできず、
順番待ちです。

JALは破綻の影響があり、
採用できる順番は下から2番目で、
その時期は学生が卒業した後
なってしまうようです。

最後がスカイマークのようです。

JALの採用試験を受けるには、
それまでの採用試験を放棄して、
卒業し、
それから受験という流れになります。

そのままJALに採用されればいいですが、
もし採用にならなかった場合、
それまでの他のエアラインは採用試験を受けられず、
スカイマークのみチャンスがある状態となります。

最悪、スカイマークでも採用されなかった場合は、
未就職としてそのまま卒業し、
後に個人で就職試験を探しては

受験するということになってしまいます

学生心理としては、
卒業までには就職先を決めたいというものです。

とりあえず受けられるエアラインはすべて受け、
採用されたところに就職する
という流れも理解できます。

これが就職先を自分で決めにくい理由です。

まとめ

最後に航空大学校についてまとめてみます。

航空大学校の良い点

  1. 一次試験なら何回も受験が可能なので、
  2. 入試時期を自分で選べる。
  3. 卒業までの費用は私大の約1/5くらいで済み、
  4. 自社養成よりも早くエアラインで活躍できる可能性がある。
  5. 60年以上の伝統があり、訓練体系は整っていて、
  6. 航空大学校からエアラインへの就職サポートが手厚い。
  7. 同期が航空各社へ就職するので、様々な人と繋がりができる。

航空大学校の難しい点

  1. そこそこの入学倍率がある。8倍程度。
  2. 訓練教官がエアライン出身でないことが多い。
  3. チェックに2度失敗すると退学になってしまう。
  4. 採用試験は各社同時ではない。先に内定が出た会社に就職することが多い。
    (自分の志望順位を通しづらい)

自社養成と比べると費用がかかる点や、
就職先が確定されていないことなど、
いくつか不安材料はあります。

しかし、
最近5年間では約98%の就職率であり、
比較的少ない費用で訓練できる唯一の場でもあります。
受験チャンスも複数回あります。

パイロットを目指す方は、
ぜひ航空大学校にも挑戦してみてはいかがでしょうか。

航空大学校学生募集要項
航空大学校学生募集要項2020年度

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